墓守コラム

納骨堂と石のお墓はどっちがいいの?購入者の生の声から考える

近年、納骨堂を運営する寺院や霊園が増えています。価格が安い、お参りが楽、将来的に永代供養ができるなどの理由から、あととりのいない世帯を中心に選ばれているようです。しかし、いざ購入してみたものの、満足だけではなく不満の声も少なくありません。納骨堂と石のお墓はどちらがいいのでしょうか。この記事では、実際に納骨堂を買った人や、納骨堂運営者や関係者の生の声をお伝えし、そこから納骨堂のメリットとデメリットを考えてまいります。あなたにとってどちらの方がいいのかを考えるきっかけになればと思いますので、ぜひとも最後まで読み進めてみてください。

納骨堂のメリット

まずは納骨堂を購入してよかったという人の声を挙げていきましょう。墓守の会が、直接お客様や関係者の方々から聞いた生の声です。

費用が安い

「お墓を建てようとすると墓地代だけで100万円、墓石の費用で100万円かかると言われた。納骨堂だと、100万円以内で納めることができた」

株式会社鎌倉新書による「第11回 お墓の消費者全国実態調査(2019年)」では、一般墓の平均相場は176,1万円なのに対して、納骨堂は87.6万円という調査結果が出ています。もちろん、墓石にも安価なものから高額なものがありますし、納骨堂も同じことが言えます。しかし、総体的には納骨堂の方が安く抑えられることに変わりはないでしょう。

●屋内でのお参りだから天候に左右されない

「建物の中でお参りができるので、雨や風を気にすることなく手を合わせられます。暑い日や寒い日もエアコンが付いているので、快適です」

納骨堂の大きなメリットのひとつが、屋内にあるということ。天候の悪い日でも静かにお参りができます。

●掃除や管理が費用

「石のお墓だと、墓石を拭いたり雑草を抜いたりと、お掃除が負担だった。納骨堂だと建物の中にあるので、汚れもそんなにひどくなく、手入れが簡単です」

納骨堂は建物の中でお参りします。墓石のように雨や風にさらされることもないため、掃除や管理が負担なく行なえます。

●アクセスがよい

「これまで山の奥にある墓地まで行かなければならなかったけれど、家の近くのお寺の納骨堂に変えてからはお参りがとっても便利です」

一般墓の墓地の多くは郊外や山あいに作られていることが多いのに比べて、お寺は市街地や住宅地にも見られ、納骨堂の方がアクセスの利便性がよい傾向にあるでしょう。

●永代供養に切り替えられ、墓じまいが不要

「私と主人がなくなるとあととりがいない。やがて永代供養にお願いするのだから、はじめから墓じまいが不要の納骨堂にしておいて正解」

納骨堂の多くは、契約期間が過ぎたり、お参りの人がいなくなったあとは永代供養にします。お寺の中で合祀に切り替えるだけなので、改葬の手続きも不要ですし、墓じまいの工事もいりません。

さて、こうしてみるとなんだか納骨堂の方がいいことばかりのように思えます。しかし、実際に利用してみてこそ分かるデメリットもあるようです。

納骨堂のデメリット

納骨堂を買ってみたものの不満だった人は、どのあたりにデメリットを感じたのでしょうか。生の声をもとに、検証していきます。

●物足りなさを感じる

「これまで墓石でご先祖様を祀っていましたが、墓じまいをして納骨堂に切り替えました。慣れないせいか、なんだか物足りなさを感じます。お墓の時には、空の下で、自分だけのお墓に手を合わせることができていましたが、室内の納骨堂はなんとなく窮屈で、お墓の時のような満足感や心の落ち着きが得にくいです」

屋外にあるお墓だからこそ、季節感やその日の天候を肌に感じながらお参りができました。納骨堂は屋内にあるだけでなく、墓石に比べるとコンパクトに作られていますから、人によっては物足りなさを感じるでしょう。

●家族利用ができないこともある

「家族型と呼ばれる大きめの納骨壇を買ったのですが、スペースに限りがあり、ご先祖様の遺骨が全部入りきらなかった」

墓石と違って納骨堂では納骨できる遺骨の数に限りがあります。「家族型」や「仏壇型」などと呼ばれる複数の遺骨を納められるタイプのものでも、骨壷の大きさなどによって遺骨の数は限られてしまいます。

●遺骨が土に還らない

「納骨堂だとずっと土に還せずに、骨壷のまま安置される。どうしても土に還すなら合祀になってしまうと言われた。なんだか気持ちが落ち着かない」

土に還せないことに違和感を感じるという声も少なくありません。大昔から人類は遺体や遺骨を大自然に還してきており、日本でもここ最近までは土葬が主流、火葬が行われるようになったあとも遺骨を土に還してきました。しかし納骨堂では、最終的に合祀するまでは骨壷のまま安置します。

●気軽にお参りができない

「納骨壇が本堂の中にある。お参りのたびにお寺に声をかけなければならず、気軽に行けない」

本堂の中に納骨壇がある場合、そのつどインターホンを鳴らし、玄関で靴を脱いでお参りしなければなりません。お墓であれば野外にあるので気軽にお参りできますが、お寺の場合はそうはいきません。

●お盆やお彼岸の混雑が激しい

「納骨堂は、お参りの人が多い時期は特に混雑します。駐車場はいっぱいですし、納骨壇自体も上下と左右を他の人に挟まれているので、とっても窮屈です」

お盆やお彼岸は、どの墓地、どのお寺でも混雑しますが、特に納骨堂は激しく混雑します。密閉された空間の中にぎっしりと納骨壇が並べられているので、落ち着いた雰囲気の中でのお参りは難しいでしょう。参拝ブースを設けた自動搬送型の納骨堂などでは、お参りまでに行列ができるほどです。また、コロナウイルス発生以降、「三密」の回避が推奨されています。お参りの人数制限をかけるなどの対策次第ではさらに混雑するでしょう。

いかがでしたでしょうか。実際に納骨堂を購入してみないと分からないことがたくさんありましたね。購入者の生の声を並べることで、わずかでもイメージが湧いたのではないでしょうか。

墓石がいい、納骨堂がいい、といった断言はできません。「いい」も「悪い」も最終的には利用者の受け止め方次第ですから。

ただし、「安い」「楽だ」「便利だ」などのような経済性や合理性など、目に見えるメリットだけで購入を決めるのは控えましょう。お墓(墓石も納骨堂も含む)は、手を合わせて、心静かに亡き人と向き合う場所です。あなたの心や想い、さらには子や孫の想いにも耳を傾けて、本当に故人さまや自分自身の心の安寧が得られるお墓に決めましょう。手を合わせた時の納得感こそが、よき供養、よき弔いにとって大切なことなのですから。

墓守の会では、墓石や納骨堂に限らず、みなさまのご供養に関するお悩みにお答えいたします。お気軽に、お問い合わせ下さい。

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