墓守コラム

あなたのお墓をいつまでも長持ちさせるシンプルにして唯一最強の方法

大切なお墓には、いつまでもいつまでもきれいであってほしいですよね。

お墓を買いに来られる方による相談で多いのが、「どの石を使ったら一番長持ちしますか?」というもの。

このように考えてしまう気持ち、とってもよく分かるんです。「せっかく高いお金を出して購入したお墓がすぐに劣化してほしくない」という心理が働きますし、その奥には、「あまりお掃除しなくても済む耐久性のあるお墓がほしい」という本音も見え隠れします。

お墓を少しでも長持ちさせるにはどうすればよいのでしょうか。シンプルにして最強の方法をご紹介いたします。

野外に置かれるお墓は必ず経年劣化する

まず大前提として知っておきたいことがあります。お墓は必ず経年劣化する、ということです。

お墓は野外に置かれます。毎日毎夜、日光や、風や、雨にさらされているのです。日光にさらされることで表面は焼けますし、風が吹くことでほこりが舞いますし、雨の中には大気中のさまざまな排気ガスも含まれています。

そうなんです。お墓は常に汚れにさらされているのです。

家の中に大切に置いておけば、経年劣化の進行を遅くできるかもしれません。でも、そんなことは土台無理な話ですよね。

お墓を購入される方に「どの石が一番長持ちしますか?」とよく聞かれますが、まずはそもそも論として、「お墓は経年劣化するものだ」ということを知っておいていただきたいのです。

当たり前のことに思えるかもしれませんが、とても大切なことなのです。

「長持ち」とはどこまでのことを言うのか?

そしてもうひとつ考えていただきたいのは、「長持ち」とはどこまでのことを言うのでしょうか?

日本中を見渡せば、500年も1000年前もの古くに建てられたお墓というものがあちこちにあります。

これらはたしかに割れやヒビなども生じているものもあり、劣化していることは否定できません。お墓が傾いているものもあったり、表面の汚れや苔が蒸しているものもあります。

しかし、こうした古いお墓にいまでも花が供えられたり、線香が焚かれたりしているものもあるのです。つまり、手を合わせる人がいるということです。

その時点でお墓はその役割を果たしています。つまり、「長持ち」していると言えるのです。

車や家で考えてみては分かりやすいでしょう。

車にもたしかに寿命がありますが、1950年代や60年代に製造されたいわゆる旧車を好んで乗る人もいます。これは車が「長持ち」している状態だと言えます。

また、100年以上も前の古民家が若者に人気です。リノベーションとして手を加えているものの、これも立派な「長持ち」の典型例でしょう。

両者に共通しているのは、「手を加えてまでしても長持ちさせている」ということと、「古くに作られて現代にまで長持ちしているものはよいものだ」という価値観です。

現代人は基本的には「新しいものをよし!」と考えます。しかし一方で「古びてにじみでるもののよさ」というものがあるのも事実。世代を超えて祀られるお墓は、むしろ後者に分類されるのではないでしょうか。

お墓を長持ちさせるシンプルにして唯一最強の方法とは?

そんなこともふまえて、お墓を長持ちさせるシンプルにして唯一最強の方法をお教えします。

お墓参りに行くことです。

((((;゚Д゚))))

っと思わず驚いた人、あっけにとられた人。

分かります。分かりますよ。

もっと必殺技的な魔法的な方法があると思っていた人ならなおさらですよね。

でもですね、そんなの、ないのです。

お墓参りすることがお墓を長持ちさせるシンプルにして最強の、唯一の方法なのです。その理由を噛み砕いて解説しますね。

物理的理由 目に見えないヨゴレの原因の存在

まずは物理的な理由からいきましょう。

お墓の表面には、目に見えないレベルで砂やほこりや排気ガスなどが付着しています。パッと見るだけではきれいなお墓かもしれませんが、タオルなどでふき取ると、思いの外にお墓が汚れていたことが分かるかと思います。

墓石は花崗岩でできています。傍目には一つの石ですが、細かく見ると複数の粒子が組み合わさってできており、粒子と粒子の間には「細孔(さいこう)」と呼ばれる小さな小さな穴があります。

ふだんからきれいにお墓掃除ができていればいいのですが、そうでない場合、この細孔にたまったよごれが、サビの原因になり、そこから割れやヒビなどが生じてくるのです。

ずっと野外に置いておくわけですから、こうしたヨゴレの付着はしょうがありませんが、それでもこまめにお掃除しているお墓の方が長持ちするというのは、これは私たち専門家が証言する間違いのない事実です。

「高い石を買ったから長持ちする」「安い石だとすぐに劣化する」…このように思い込む人も多くいます。

たしかに石材そのものにもスペックの違いはありますが、大事なのはその後のお掃除なのです。

心理的理由 手の行き届いたお墓はイキイキしていてみずみずしい

墓地や霊園を歩いていますし、「あっ! このお墓、お参りされているな」というのは見たらすぐに分かります。お花やお線香などのお参りの痕跡だけでなく、なんとなく墓石の「精気」みたいなものを感じるのです。

これはもう、新しい古いの問題でもありませんし、国産石材や外国石材の違いでもありません。

お墓参りをする、お墓掃除をするということは、それだけお墓に対して「手をかけている」ことを意味します。手をかけるとお参りする人の想いが込められ、これが精気として感じられるのでしょうね。

旧車や古民家が素敵なのも、それを愛する人たちがこまめに手を加えて、メンテナンスやリノベーションをしているからですよね。

500年も1000年も前に建てられたお墓に、いまだに水がかけられ、お花が供えられ、お線香が焚かれている。

どんなに石材そのものが劣化していたとしても、お墓の命そのものは全く死んでおらず、むしろ年月を経ていることで、その味わいは深みを増し、お墓はよりイキイキと、みずみずしい姿を見せてくれます。

お墓を長持ちさせるには、あなたがお墓参りすればいいのです。お墓参りすることで、お墓はその役割を長く長く、持たすことができるのです。

プレッシャーを感じないで、お墓の力を信じよう!

このように書くと、

「じゃあ毎日お墓掃除しないといけないの」

「年に1度しかお墓参りできないワシはどうすればええんじゃ」

という風に考えがちなみなさん。

まずはお墓の力を信じてみませんか?

石は、この自然界でもっとも強く、長く存在し続けられるものです。

あなたがお墓を建てたその日からあなたが亡くなる日まで、劣化して崩壊するというようなことは、まずありません。あなたのお子さんが亡くなる日までだって、そんなことはないでしょう。なにもしなくても、50年は悠にそこにい続けられるほどに頑丈なのです。

お墓参りも、行ける時に行けばいいのです。多少のヨゴレや、割れや、欠けも、年月が経てば生じてくるものです。自分たちの手に負えなくなったのであれば、その時に石材店に相談して部分的に直してもらえばいいのです。

「お墓の掃除が大変だから、墓じまいしました」

こういう声をよく耳にしますが、これはとても残念なことです。

なぜなら、むしろ逆なような気が、私にはするからです。

石でできたお墓ほど、手のかからないものはないのではないでしょうか。

長持ちが保障されている石のお墓からこそ、長く続いてほしいと願う家族とのつながりを、お墓に託すことができるのです。

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