墓守コラム

小さなことから「こつこつ」と 石工の手仕事から響く音

あることがらを地道に続けていくことを「こつこつ」と表現しますよね。この「こつこつ」という音がもっとも似合うのが、石工が石を叩く音なのです。

こつこつと続けていくことのすばらしさ

こつこつは、漢字で「兀兀」や「矻矻」と書きます。「兀」の字は高くそびえているさま、「矻」の字は「たゆまず精を出して働くさま」を意味するようです。古くは曹洞宗を開いた道元の『正法眼蔵』の中にも見られます。

こつこつは、農業国として栄えてきた日本人の精神性がとってもよく似合う言葉だと思います。

日本人は決して狩猟民族ではありません。何かを追い求め、競い合い、争いに勝つために絶えず変化を求めるのではなく、もくもくと種を蒔き、こつこつと土を耕す。毎日の日常を、しなければならない仕事を、こつこつと続けていくことの素晴らしさが身に染み付いているのが私たち日本人ではないでしょうか。

石工の手仕事から響く「こつこつ」という音

石工

こつこつという音がもっとも似合うのが、石工の手仕事です。文字どおり「こつこつ」という音を響かせながら、石を叩き、お墓の形にしていきます。石をひとつ叩くごとに「こつ」「こつ」という音を立てるのです。

いまでこそ、機械を使って石を加工しますが、一昔前までは機械なんてありませんでした。ノミとセットウという道具を用いて、石工の手で石を叩き、形を整えていったのです。最近はグラインダーという研磨機を用いるために、ツルツルでピカピカのお墓が当たり前になりましたが、それまでは磨くのではなく、叩いてお墓の表面が平らになるよう仕上げていったのです。古いお墓の表面がざらざら、ごつごつしているのはそのためです。

石はとっても硬いものです。山から取り出してきた岩をお墓の形にしていくには、膨大な時間と手間暇がかかります。それでも、石工はお墓作りに没入し、無言で石と向き合います。指先で石肌に触れ、石と対話をしながら、ひとつひとつ、セットウと振り下ろし、ノミで石肌をこつこつ、こつこつ、弾いていくのです。

墓石が表す日本人の精神性

石工の地道な手仕事の先にできあがったお墓に、私たちは亡き人やご先祖さまの安寧を祈り、手を合わせてきました。

「継続は力なり」。日本人が好きな言葉ですよね。こつこつと地道な仕事を続けることは途方もなく感じられますが、しかしその努力がいつか必ず大きな力になることを、私たちは知っています。

そしてご先祖さまという関係性も、世代を超えたつながりが継続することで生まれるものです。

ご先祖さまひとりひとりが、こつこつこつこつ、その時代を頑張って生きてきたからこそ、今の私たちがある。そのことを象徴してくれているのが、お墓ではないでしょうか。

お墓が出来上がるまでの石工の仕事は、それはそれは膨大な時間と手間を要します。それでも、文句ひとつたれず、ただ黙々と、こつこつと、石を叩き続ける。その美しさが、石のお墓には込められているように映ります。

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