墓石の横に立ててある板石には、ご先祖様の戒名や命日などが彫刻されています。「霊標」や「墓誌」や「戒名板」などとも呼ばれるこの板石は、私たちがどこから生まれてやってきたのかを教えてくれる、実に壮大な記録のための板なのです。
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霊標は、ご先祖様の名前を刻むための板石
霊標とは、ご先祖様の名前を刻むための板石です。墓石の横や後ろに据えられます。もともとは墓石の軸石への彫刻が一般的でしたが、複数のご先祖様の名前を刻み、新たに彫刻するスペースがなくなった人たちが霊標を新設します。
霊標はあってもなくても構わない
墓地に行ってよく見てみると、霊標がある区画とない区画があるのが分かるかと思います。そう、霊標は絶対になければならないものではないのです。
かつては墓石の軸石に彫刻してきたほどですから、その歴史も浅く、設置するしないは施主の判断で構いません。子や孫にもそのお墓を使ってほしいのであれば設置しておくべきですし、あととりがいなくなることが分かっているのであれば、無理に設置しなくてよいのです。
霊標そのものには魂は込められない
霊標は、ご先祖様の戒名や命日などを彫刻する記録のための板石です。それ自体に魂が込められるわけではなく、礼拝の対象ではありません。新たに彫刻するのであればお坊さんによる「お性根抜き」法要で、中におられる仏さまに対して拝んでもらわないといけないとされていますが、霊標の場合はそうした儀式も不要です。
費用相場は10万円 彫刻費や設置費にも要注意
霊標の費用相場は、石の種類によってさまざまなです。安価な外国産の石材であれば、10万円前後。そこに彫刻費(ひとりあたり約2万円)と、設置工事費(現場にもよるが約3万円)がかかってきますので注意しましょう。
ご先祖様がいて私がいる 霊標は自分のルーツを一目で教えてくれる
お墓参りに行くと、霊標に並んでいるご先祖様の名前が目に飛び込んできます。そうやって、「ああ、この人たちがいて今の私がいるんだな」と、無意識のうちに自分たちのルーツの存在を感じることができます。石に名前を刻むというのはとても意味のあることで、樹木葬や納骨堂にはない、墓石だからできることではないでしょうか。
何十年も何百年もそこにい続けて、かつてこの世界を生きた人たちの名前を示し続けてくれている。霊標はまさに、命の板石と呼べるものなのです。