「妻の両親をわが家のお墓に納めてもいいのですか?」
「子のない弟夫婦を同じお墓に入れてあげたい」
このような、あととりのいない家族や親戚を同じお墓に入れてあげたいという声を多くいただきます。
少子化が進むことによって、子のない世帯、娘しかない世帯など、あとが続かない家が増えているからです。その解決策として2つの家のご先祖様をひとつのお墓で祀れればいいのですが、そんなことは実際に可能なのでしょうか? どこよりも分かりやすくお答えします。
目次
ひとつのお墓で2つの家の遺骨を納めても大丈夫!
結論から言います。ひとつのお墓で2つの家の遺骨を納めても大丈夫です。
「あととりや墓守がいないから墓じまいをして永代供養にしよう」。こう考える人が多いのですが、もしも納めてもらえるお墓があるのであれば、そこに埋葬して次の世代の人たちに供養してもらうというのが、本来あるべきお墓の姿だと言えるではないでしょうか。
サザエさんで考えてみましょう。
磯野家のカツオが生涯独身で、ワカメちゃんが嫁いでいたとします。こうなると磯野家のお墓を守る人がいなくなり、墓じまいや永代供養を考えなくてはなりません。
しかし果たしてそうでしょうか。サザエさんやマスオさんが建て、タラちゃんが引き継ぐフグ田家のお墓に磯野家の3人(波平、フネ、カツオ)を入れてあげるほうが、みんなにとってハッピーなのではないでしょうか。
もっと言うならば、磯野家のお墓がすでに建っているのであれば、そのお墓をフグ田家が引き継いだって構わないのです。
「ひとつの家にひとつのお墓」という考え方さえ取っ払ってしまえば、私たちは墓じまいをする必要もありませんし、新たに購入する納骨堂や永代供養を考える必要もないのです。
祭祀承継者は誰がなっても構わない
祭祀承継者とは、お墓や仏壇などを引き継ぐ人のことですが、基本的には誰がなっても構いません。民法第897条では次のように定められているからです。
第897条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定(相続の一般的効力の規定)にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。 2、前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
つまりここでは、
①被相続人が遺書などで指定した人
②慣習に従う→家族や関係者間での同意
③家庭裁判所
の順で決めていけばよいとされており、お墓を受け継ぐのは長男である必要もありませんし、親族でなくても構いません(ただし墓地によっては6親等以内などと規定していることもあります)。
フグ田家によるお墓の承継はこれからのお墓の形
少子高齢化がさらに進む日本では、「ひとつの家族がひとつのお墓」に限界があります。また、かりに名字が変わってしまったとしても、ご先祖様は間違いなく私たちのルーツなのです。
大切なのは家制度よりも、大事な親や先祖を自分の手で供養してあげたいという想いではないでしょうか。
あれだけ仲のいい磯野家とフグ田家。あととりがいないからって、波平とフネとカツオを永代供養にするのはあんまりにもしのびないのではないでしょうか。
大人になったタラちゃんは、きっとこう言うことでしょう。
「おじいちゃんと、おばあちゃんと、カツオ兄ちゃんと、おんなじお墓に入ろうよ」
墓守の会では、お墓の納骨や供養について幅広くご相談にお答えいたします。お困りごとや不安なことがある方は、お気軽に墓守の会にお問い合わせください。