お墓参りに行くと、6つのお地蔵さんが並んでいるのを見たことありませんか?
お地蔵様って、なんとなくわかるけど、いったいどんな仏さまなの。そして、どうして6つのお地蔵様が墓地の入り口に置かれているのか。今日はそんなお話です。
目次
墓地の入り口にあるお地蔵さまは、死後の6つの世界それぞれで守ってくださる
みなさん、墓地の入り口に6つのお地蔵様が並んでいるのをご存知ですか? 普段お墓参りの時にそんなとこ気にしないですよね。でも、よーく見てみてください。多くの墓地では、入り口に6つのお地蔵様がきちんと並んでお祀りされています。
お地蔵さまは、どんな形で亡くなった人であっても、必ず私たちを救って下さる仏様として、古くから庶民に愛され続けてきた身近な仏さまなのです。お寺のお堂で祀られるだけではなく、村の地蔵堂や道端などにもお地蔵さまが置かれているのを、みなさんも見たことがありますよね?
そんなお地蔵さま、墓地ではどうして6つ置かれているのでしょうか。
仏教では、人は亡くなると次の6つの世界のいずれかに生まれ変わると言われています。そしてお地蔵さまは、どの世界に生まれ変わったとしても、私たちを守ってくださるというのです。
●天道
天人が住む世界で、人間よりも優れており、苦しみも少ないと言われているものの、苦しみのある世界なのです。
●人間道
私たち人間が住む世界です。
●修羅道
阿修羅の住む世界で、争いやいさかいがあとを絶ちません。
●畜生道
いわゆる動物たちの生きる世界です。ほとんどが本能だけで生きており、自力で仏の教えを得ることができません。
●餓鬼道
餓鬼とは腹が膨れ上がった姿の鬼のことです。つねに飢えや渇きに苦しんでいるものの、何かを食べたり飲んだりしようとしすると喉元で火になってしまう苦しみにさいなまれます。
●地獄道
地獄とは、たいへんな罪や悪いことをした人たちが落ちる世界です。地獄にもさまざまあり、生前の罪の重さで行き先が決まります。灼熱地獄、極寒地獄、阿鼻地獄、叫喚地獄、賽の河原などが有名です。
ご先祖様の中にも、いい行いをした人だけでなく、悪いことをした人、まわりに迷惑をかけた人もいたことでしょう。墓地には、いろいろな人生を歩んでこられたたくさんの人たちが眠ります。墓地の入り口に置かれているお地蔵さまには、「どんな形で亡くなった人も救ってくださりますように」というこちら側の願いが込められているのです。
お地蔵様は墓地を守ってくれている
お地蔵さまのもうひとつの役割は「境界」です。つまり、あちらの世界とこちらの世界の境界に置かれるのです。
たとえば、四辻や山の峠などに交通安全のお地蔵さまが置かれているのをよく見かけます。これは、あちらの村とこちらの村の境界を守って下さっているのです。
日本人は古くから、別の世界、つまり異空間と異空間の接するところにいろいろな御霊や悪霊が集まるものと考えていました。その境界にお地蔵さまを置くことで、その場を守ってくださるだけでなく、そこが別世界との境界であることを私たちに教えてくれます。
六地蔵様がなぜ墓地の入り口に置かれているのか。それは私たちの住む世界と、亡くなった方々が眠る墓地という場所の境界を示すためなのです。「ここからこっちは亡くなった人たちが眠る場所ですよ。心静かに落ち着けてお墓参りしてくださいね」まるでそう言われているみたいです。
お墓参りの時には六地蔵さまにも手を合わそう
お墓参りの時には、六地蔵さまにも手を合わせましょう。お地蔵さまはやさしい仏さま。そんな仏さまが、私たちのご先祖様のお墓を守って下さっているのですから。