親子が別々に住んでいて、息子がお墓を継いでくれるかどうかわからない。ご先祖様のお墓、そして自分たちのお墓をどうすればいいかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
Yahoo!ニュースにケーススタディの一例として、『「樹木葬」を選択した夫婦の悲劇…「実家の墓」を撤去したら息子から大ブーイング』という記事が掲載されました(現代ビジネスによる配信)。親子の疎遠から起きた墓守にまつわるトラブルですが、この記事の本当の問題を考えてみたいと思います。
目次
樹木葬を希望した両親と家墓を希望した長男
まずはリンク先の記事を読んで欲しいのですが、そんな時間はないという方に向けて概要をまとめます。
都内在住の高齢者夫婦。実家の墓は山梨県にあり、長男は関西で働いている。長男はお墓を継いでくれないだろうと思い、この夫婦は実家のお墓を墓じまいし、菩提寺の永代供養墓に遺骨を納めました。
そして、自分たちのお墓として、継承不要の樹木葬を生前契約。その2年後に妻が亡くなり、予定通り樹木葬のお墓に埋葬。納骨が終わったタイミングで異変が起きたのだそうです。
お墓を継がないだろうと思っていた長男が「なんでお墓のことを相談してくれなかったんだよ!」と不満をぶつけてきたのです。一方の父は「どうせお前は継いでくれないんだし、二人で決めて何が悪い」と開き直るものの、長男は納得してくれない様子。
と、こういったお話です。
お墓の形よりも、親子のコミュニケーション
記事のタイトルから見れば、樹木葬が悪者のように見えますが、実はそんな内容ではありません。
この記事の一番の問題は、寂しい親子関係。もうこれに尽きます。親子間でご先祖様のお墓をどうするかについて話をする機会がなかったことが最大の、そして唯一の問題です。墓じまいが悪いわけでも、樹木葬が悪いわけでも、家墓を継ぐことが悪いわけではありません。
お墓ってなんのためにあるのでしょうか。お墓を守るために家族がいるのでしょうか。違いますよね。家族のためにお墓があるべきなんだと思います。
まずは親子関係があって、そのシンボルがお墓なのではないでしょうか。お墓の形よりも、親子や家族が仲良くいること、お互いの考え方を理解すること、コミュニケーションをとること、そちらの方が、百倍も千倍も大事なのです。
この記事の事例では、夫婦は「どうせ息子は継いでくれない」と考えていたし、息子は「田舎のお墓を継いで墓参りしたい」と考えていたそうです。お互いの考えが少しでも分かり合えていれば、こんな悲劇は起こらなかったことはずです。
お墓の形なんて、あとからついてきます。まずは自分たち親子がどのようにお互いの考えや想いを持っているのか、それを理解することが第一歩です。これは何も、お墓についてだけではありません。どんな些細なことも、相手の話を聞く、想いを理解することは、生きていく上でとても大切なことですよね。
お墓は亡くなった本人のためのものでありながら、遺された人のためでもあります。マスコミやCMなどに踊らされることなく、みんなが納得するお墓の形をみんなで考えていきましょう。
分からないこと、お困りのことがございましたら、どうぞ墓守の会まで、ご相談ください。