墓守コラム

お墓の汚れは雨が流れ落としてくれるという迷信

たまに、「雨がお墓の汚れを洗い流してくれるから、お掃除なんてたまにでいいんだよ」という声を聞きます。お墓の専門家である私たちからすると耳を疑いたくなりますが、実際にこう考えられる方もおられるのですね。お墓のお掃除について、詳しく述べて参りたいと思います。

雨水に含まれる不純物

雨水の大部分は水ですが、一部不純物が混じっています。煤などの燃焼由来の有機物、硫黄酸化物(硫酸)、窒素酸化物、塩素、ナトリウム、土壌由来の成分などが混ざっていると言われています。

また、自然の雨は最初から,弱い酸性だと言われています。大気中に含まれる二酸化炭素が雨に溶けると酸性を示すからです。酸性は金属を錆びさせ、劣化を促します。石も鉄分を含有しているので、他人事ではありません。

加えて酸性雨の恐れもあります。20世紀後半に日本をはじめ世界中で問題となった酸性雨。実はいまも問題が解決したわけではないのです。CO2の排出規制など環境問題への意識の高まりから、酸性雨による人的被害はあまり聞かれなくなりましたが、それでも中国由来の排出ガスなどもあり、楽観視できない状況にあります。

ここまで述べてきたように、雨水には不純物が混じり、若干の酸性を示しており、墓石の劣化を促してしまうということです。

これに対して蛇口をひねって出てくる水道水は、中性です。日本の水道水の基準は非常に厳しく、厚生労働省が定めるpH値は5.8以上8.6以下とされ、これは中性と言える数値なのです。

不純物が混じって酸性を示す雨水よりも、水道水の方が、墓石をきれいにできるということです。

放置よりも、手を加えることの大切さ

ここまで、科学的見地から、雨水よりも水道水の方がよいことを話してきましたが、それよりも大切なのは、「気持ち」の部分ではないでしょうか。

「お墓の汚れは雨が洗い流してくれる」という言葉の裏には、「だからそんなに掃除しなくてもいい」という思いが見え隠れしています。

そのお墓が輝いて見えるかどうか、長持ちするかどうかは、実はどれだけの手間をかけてお掃除されてきたかに左右されます。

この地球に生きるということは、雨が降り、風が吹き、木の葉が舞い、草が生える。それが自然現象と付き合っていくことに他なりません。それをそのまま放置するのではなく、そのつどきれいにしていくことで、その場所は、そして私たちの心は洗われていきます。

お墓をきれいに掃除するということは、私たちの心を掃除すること。ご先祖様のお墓がきれいになるということは、私たちの心がきれいになるということ。

簡単な拭き掃除だけで構いません。ぜひ、きれいな水で、あなたの手で、墓石をきれいに拭いてみてください。心が晴れやかになりますよ。

中には、「お墓が遠方でなかなかお参りできない」「高齢でお墓掃除もままならない」といった理由で、墓守に苦労されている方もおられるでしょう。

そんな時には、私たち墓守の会にご相談ください。あなたのお墓の維持管理、心のこもった墓守のお手伝いをいたします。

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