墓守コラム

「お墓はおうち。いつまでも大切な人と一緒にいられるように」~20代女性の見るお墓

20代の女性の方から当会に相談が持ち寄られました。正直、若い方からのお問い合わせは珍しいのですが、若い世代の人がお骨や供養についてどう考えているのか、その一端を見た気がしました。

「大分のお墓を永代供養したい」と話す親への違和感

お電話をいただいたのは神戸市在住の20代女性。「父と祖母が、大分県にある実家のお墓を墓じまいして、中の遺骨を永代供養しようとしていることに違和感を覚えるんです」と話して下さいました。

大分県はその家のルーツ。お墓の中にはご先祖様だけでなくおじいさんのお骨もあるとのこと。そのお墓を墓じまいして、お骨を大分県の菩提寺に永代供養してもらおうということなのです。

「家族が神戸にいるのに、永代供養なんてしてもいいのでしょうか」これが、女性の素朴な疑問でした。そして、気になるのが、おじいさんの妻、つまりは相談者のおばあさんがどう考えているかということです。

「祖父とあまり仲が良くなかったみたいで、大分のお寺に預けることに抵抗はないみたいです。そして自分たちは神戸にお墓を構えようとしている。ちっちゃいお墓ですけど」

生前の不仲がそのままお墓のあり方へとつながっていくのです。それでは、孫である相談者はどこに違和感を感じているのでしょうか。少し深掘りして訊ねてみると、「うーん」と少し悩みながら、自分の中のモヤモヤをゆっくり言葉にしてくれました。

「なんか、お墓っておうちのような場所だと思うんですよね。みんなが一緒にいるから、楽しく入れるような気がするんです。生きていればいいことだけでなく、イヤなことたくさんある。たとえ家族同士でも。でも、お墓に入ることでそういったものが浄化されるような感じがするんですけど、父と祖母がおじいちゃんに対してそういう考えに向かないことが、さみしいなと思います。亡くなったあとくらい、同じお墓に入って仲良くすればいいのに」

みんなが同じ場所に入ることで、安心できる

墓じまいや宗教離れが進んでいると言いますが、決してそんなことはありません。これまでのお墓や宗教に対して違和感が持たれているだけで、「亡き人とつながりたい」「ご先祖様を大事にしたい」という感覚は、いまの若い世代の人たちも持ち合わせています。

「亡くなったあとくらい、同じお墓に入って仲良くすればいいのに」という女性の声がなんとも印象的です。お墓は、ある意味、この世界でのさまざまなことを一旦クリアにしてくれる、新しいおうちのようでもあります。だからこそ、おじいちゃんのお墓とおばあちゃんのお墓が別々の場所にあることに、孫は戸惑うのです。

「しかも、おじいちゃんだけ、別の人たちと同じタコ部屋みたいなところに放り込まれるんですよ。やっぱ、家族がいるから、その家の中で一緒にいさせてあげたいじゃないですか」

この女性の言葉を借りるなら、永代供養墓はタコ部屋なのです。タコ部屋が悪いとは言いません。でもせめて、子や孫がいる間は、たとえ小さくてもわがやのお家(=お墓)でお祀りしてあげてもいいのではないでしょうか。

「私、どうすればいいんでしょうか?」と聞かれたので、このように答えました。

「遠方にあるお墓の維持はたしかに大変です。でも、お墓の引越しや新しい小さなお墓を設けることも可能です。お墓の形にこだわる前に、おじいちゃんとおばあちゃんがはなればなれになるのは嫌だと、まずは孫の立場から素直に話してみましょう。だって、ゆくゆくそのお墓を見るのは、あなただったりしますもんね」

お墓のこと、墓守や維持管理のことでお困りの方は、どうぞ墓守の会までご相談下さい。ちなみにその女性は「墓守」と検索してから当会に来てくださいました。彼女の中ではもうすでに「墓を守る」という意識があったのですね。

支援内容

継承問題・管理問題・お墓参り問題を一緒に考えます。

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