ご先祖さまの大切なお墓。墓じまいせずに自分が死んでしまったらどうなるの? このように考えたことはありませんか? お墓にはご先祖様の遺骨が埋葬されています。墓石と遺骨のそれぞれがどのように取り扱われるのかを解説いたします。
目次
墓石は放置、そして処分
お墓参りされることのないお墓は、ずっとそこに置かれたままです。草が生えて、石はヒビ割れ、こけが蒸します。自分のご先祖様が入っているお墓が放置されている姿を想像するのはとても胸が苦しいものです。
最終的には墓地の管理者によって解体撤去、そして処分されます。祭り手のいない墓石は、法律で決められた告知をした上で親戚縁者の申し出がなければ、管理者による墓じまいが認められています。
遺骨は合祀 他の人とひとまとめ
お墓の中には必ず遺骨があります。墓石を撤去するということは、同時に遺骨も処分しなければならないということです。
遺骨をそのあたりに処分するのは、法律的にも心情的にも許されるものではありません。お寺の永代供養墓などで合祀されるのがほとんどです。
「永代供養」や「合祀」というと聞こえはいいのですが、実際には行き先のなくなった遺骨を1箇所にまとめて埋めているだけです。お坊さんによるお経も年に1回や2回というところが多く(お寺の方針によって異なる)、手厚い供養がなされるというよりは、法律上問題ない場所としてお寺の境内が選ばれているに過ぎません。
もちろん、墓守のないお墓、行き先のない遺骨は大きな問題ですから、お寺による永代供養や合祀は、少子高齢化社会で重要な役割を果たしてくれるのですが、あくまでそれは最終手段として考えておきましょう。自分たちが生きている間は、自分たちの手でご先祖様を供養するのが望ましいのではないでしょうか。
意外と知られていない事実 子ども以外も墓守できる!
墓じまいをする人の多くは、その家であととりがいないことに端を発しています。しかし、「その家にあととりがいない=お墓を維持できない」ではないということをぜひ知っておいいていただきたいです。つまり、子ども以外でも墓守はできるのです。
お墓を守るべき人について、民法第897条では次のように定められています。
第897条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定(相続の一般的効力の規定)にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2、前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
つまりここでは、
① 被相続人が遺書などで指定した人
② 慣習に従う→家族や関係者間での同意を得た人
③ 家庭裁判所で決められた人
…のいずれかであれば問題ないとしています。直系の子どもでなくても、たとえば故人の兄弟姉妹。甥や姪などの親戚でも構いませんし、血縁関係にない人であっても当事者間の同意があれば墓守ができるのです。
みんなでお墓を守っていくことで幸せになれる
無理をしてお墓を維持していく必要はないでしょう。最終的な受け皿として、永代供養をしてもらうのは、自然な流れです。
でも、自分たちの体が元気なうちは、お墓を守っていきませんか?
お墓にはご先祖様のお骨が眠っています。ご先祖様は私たちのルーツです。ご先祖様を大事にするということは自分自身を大事にすることに他ならないのです。
そしてお墓は誰か一人が守るべきものではありません。みんなでお墓参りする、みんなでお墓を守っていく。こういう姿にご先祖様は喜ばれますし、私たちを幸せにしてくれるのです。
墓守のことでお困りの方は、どうぞ墓守の会までご相談ください。あなたの思いに寄り添って、お墓のプロがアドバイスさせていただきます。