お墓参りの作法が分からないとお悩みの方のために、『どこよりも素敵なお墓参り完全マニュアル』と題して、正しいお墓参りの方法をご指南いたします。ここに書かれた通りにお参りすれば、ご先祖様もみなさんもハッピー間違いなしです。前回の記事では【準備物編】として、忘れてはいけないもの、あれば便利なアイテムをご紹介いたしました。今回はいよいよ実践編。【お参り編】として、お墓掃除や礼拝の作法についてみていきましょう。
目次
ご先祖様に礼拝
墓地に到着すると、まずはご先祖様に向かって手を合わせ礼拝しましょう。「無事にお参りに来ることができました。ありがとうございます」「これからお墓掃除をさせていただきます」などのあいさつをしてもよいでしょう。先にしっかりとお墓の掃除をするので、ローソクや線香などはこの時点では供えないようにしておきましょう。
下準備
お墓掃除の前には下準備が大切です。夏の暑い日であれば、日よけのテントやパラソル設置する(用意できなければ無いで構いません)、作業をする服装に着替えるなどしましょう。また蚊や虫除け対策として、蚊取り線香や虫よけスプレーも必須です。
段取りよくお掃除をするために、すぐに落ち葉や雑草などをまとめられるゴミ袋などを用意しておきます。
足回りから掃除
まずは足回りから、それから墓石の拭き掃除を行います。
- 雑草抜き
雑草抜きは体力の負担の多い作業です。除草具などをかしこく使って草抜きをしましょう。
- 巻石などの拭き掃除
巻石など、石でできた部材を拭きます。巻石とは、区画を囲む長尺の石のことです。この上に玉垣と呼ばれる柵のようなものが据えられていることもあります。あわせて拭き掃除しましょう。
彫刻部分の掃除
お墓には、さまざまな箇所に彫刻が施されています。軸石の正面、裏面、家紋、霊標など。この中の汚れは歯ブラシを用いるのが便利です。ただし、力を入れすぎて石が欠けないよう細心の注意を払いましょう。また、彫刻部分に色が入っている場合は、色が剥げ落ちてしまうので、臨機応変に対応しましょう。色入れ直しは石材店に依頼すればすぐに対応してもらえます。
ステンレス部材の掃除
花立や線香立て、水ためや塔婆立てなど、ステンレス製品をきれいにします。花立は奥が深いので柄付きブラシがあれば便利です。
墓石の拭き掃除
足回り、彫刻部分、部材をきれいにしたら、いよいよ墓石の拭き掃除です。石材用の薬剤が販売されていますが、基本的には水による拭き掃除がもっともシンプルで、石に対しても優しいでしょう。まずはスポンジで墓石の表面をきれいにし、それから乾拭きで水気を拭きあげるのがおすすめです。
お供え
お掃除が済んだらお供えをして差し上げます。お供え物の基本は「五供」。花、灯明、香、水、飲食です。お花を花立に立て、食べ物や飲み物をお供えし、ローソクを灯し、お線香を焚きましょう。また、お墓には「水ため」と呼ばれるくぼみがあるので、そこに水を溜めて、最後に墓石に水をかけてあげましょう。
礼拝
礼拝の際は、数珠に手にかけ、合掌し、静かに心を落ち着けます。お墓参りに来れたことをまずは感謝し、思い思いにご先祖様に声をかけて、祈りましょう。
後片付け・帰宅
来たときよりも美しく。周辺をきれいにかたづけます。お供え物は供えたままにせず持ち帰ります。最後はもういちど墓石に向かって一礼し、すがすがしい心持ちになって帰宅しましょう。
ごほうび
お墓参りのあとには何らかのごほうびを用意してあげることをおすすめします。自分からのごほうびはご先祖様からのごほうびでもあります。缶コーヒーを買うもよし、喫茶店に入るもよし、美味しいランチを食べに行くもよし。あなたの中のご先祖様も、きっと一緒になって喜んでくれます。こうして、お墓参りを楽しいものにしましょう。
注意点
お墓掃除の際は次の2点に気をつけてください。
- 磨きの部分と叩きの部分の違い
お墓の表面は仕上げによってその石肌が異なります。昨今多いのは、表面がつるつるぴかぴかになる「磨き仕上げ」。研磨機によって何度も何度も磨き上げるため、表面の凹凸がなく、さっと拭き掃除ができます。こうした部分はブラシやたわしなどで傷つけないようにしないと、すぐに劣化してしまいます。
一方、叩きやビシャンと呼ばれる仕上げによってできあがったザラザラあるいはボコボコした箇所は、表面が凸凹しているため、汚れやすいものの、その分ブラシやたわしを使ってゴシゴシ力強く磨いてもなんら問題ありません。
- 掃除の順番 足回りが先か墓石が先か
この記事では、まず足回りを先に掃除して、それから墓石をきれいにしようと提案しました。先に墓石を掃除してしまうと、地面に水がしみてしまい、雑草が抜きにくくなったり、手が汚れやすくなったりするからです。しかし、あらゆる掃除の基本は「高いところから低いところへ」とも言われています。それぞれがしやすい方法でお墓をきれいにして差し上げましょう。
お墓参りの醍醐味はお墓掃除です。お墓をきれいにして差し上げることで、まるで自分の心の中もきれいに洗われる想いがするものです。そしてご先祖さまも一緒になって清らかな気持ちで喜ばれていることでしょう。